<html><head><meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=Shift_JIS"><title>可塑性について [3/5]：芸術性理論研究室 metaforce iconoclasm</title></head><body bgcolor=#FFFFFF background=bg.jpg text=#303030 link=#303030 vlink=#505050><font size=2><a name=top></a><div align=center><font size=1>[<a href=../../index.html>HOME</a>]<br>&or;<br>[<a href=../index.html>研究レポート目次</a>]<br>&or;<br>[016]</font></div><div><font size=1>─</font><br><strong><font size=3>可塑性について [3/5]</font></strong></div><div align=right><font size=1>─</div><div align=center>【 頁：<a href=index.html> 1 </a>：<a href=2.htm> 2 </a>：3：<a href=4.htm> 4 </a>：<a href=5.htm> 5 </a> 】</font></div><p>　そこで無生的な素材を念頭において、様相変化を辿ることにする。まずバケツから粘土を一握り取り出して、その塊(固まり)を観察してみよう。しばらくの間、目の前にある形容しがたい形をした粘土に見入れば、形相なき形であるかのように佇む無愛想な物体が、それが「固まり」であるが故に確たる形をなす、数えられる個物であることに気付かされる。ここで我々は制度化された言語記号・辞書の無力や意味自体の自由な超無限性を再確認すると同時に、非接触という関係の断裂は可塑性を予期の向こう側へ排除することをも学ぶことができる。それが硬化以前の粘土であることを知っていようとも、構造域における不即不離的な可塑性を具現と反目させるのである。この段階での粘土はソリッドな即自態をなす有形物であり、決して「未決定な否定形」などではない。それが可塑物であると同定されるには他者との接触受容を待たなければならない。</p><p>　しかしその接触は粘土の固まりに手の平をやさしく沿わせることを意味しているわけではない。「ふれる」や「なでる」で現象化される触覚情報は物体の温かさや表面の肌理であり、ボリュームの強度は言及域外にある。可塑性とは複数の延長性による衝突によって、少なくとも一方が他者を参照しつつも自己の可能範囲に従いながら、他律的に自己構成を組み換えなければ観察され得ない。正しくは衝突後に両者が離れようとも、接触時に発生した他者受容を継続保持する慣性によって、それは主題化されることになる。</p><p>　「形を受け取る」と思われているこの原場面を粘土を用いて確認してみる。利き手の人差し指を力強く緊張させ、粘土の固まりに1cmほど突き刺してみる。そして慎重に指を抜き出してみれば、恐らくそこには小さな窪みができていることだろう。用いた粘土のクラスターが微細なものであったのならば、その中には爪や指紋の痕跡が美しく出来上がっているはずである。過去の出来事化によって我々はその対象を可塑物と同定するに至るのだが、この出来立ての窪みを注意深く観察してみれば、それが他者(原因)受容ではないことに気付くはずである。窪みを作ろうとする目的遂行的行為によって多くの場合「形を受け取った」と形容される場面ではあるが、もし可塑性が形を受容するものならば、突き刺した指を抜き出した刹那に、指先を外側から観察することのできる彫刻が出来上がっていなければならないはずである。しかしそこにあるであろう窪みは「窪み」でしかなく、指先を内側から見た空洞の鋳型にすぎない。複合的な形と純然たる形相とは意味が異なることを忘れてはならない。つまり可塑性における他者受容とは干渉を契機にしつつも、それまでの自己を脱却することによって超他者(原環境)を自己組織化する対象の内属項についての表れを意味するのである<font size=1>(*)</font>。</p><p><font size=1>(*)　ここで粘土の固まりに「自己(最小単位)」という言葉が妥当するか否かについて疑義をもたれる方が居られるかもしれないが、不定形な粘土は液体のような単純等質な組織ではない点に留意されたい。</font></p><p>&gt;&gt;<a href=4.htm>次頁へ進む</a></p><div align=center><font size=1>【 頁：<a href=index.html> 1 </a>：<a href=2.htm> 2 </a>：3：<a href=4.htm> 4 </a>：<a href=5.htm> 5 </a> 】</div><div>─<br>─</div><div align=right>&copy; <a href=../../copy.htm>ayanori.jp</a><br>─<br>─<br>[△<a href=#top>PAGE TOP</a>]<br>[<a href=../../index.html>HOME</a>]<br>[<a href=../../map.htm accesskey=0 directkey=0 nonumber>MAP</a>]</div></font></font></body></html>