芸術性理論研究室
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懐胎と分娩 4 [1/4]
ayanori [高岡 礼典]
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  >> 前々論『懐胎と分娩 3』からの続き。

 

 それは一回の緒である。「一人」と『独り』を未獲得のまま、固有の位置価を与えられず、「どこか」に浮遊・滞留する胎児は、性分化の手前で価値を概念化できず、慈悲なく残酷なまでに、懐胎者の生理によって設えられた胞衣を破り捨てなければならない。胎児が子として腹部中央に傷を受ける分娩は、物理的な半了解による傷付け合いであり、増殖的分化を自/他化する手続きと階梯の始まりである。そのため破裂の蠢きを感じ取り、読解できた分娩者は難なく自己を母へと導く道程を切り開くことだろう。通常、出来事としての始まりは「おしるし」と呼ばれる羊水の漏出にあるかもしれないが、それは固く閉ざされた「子宮口」によって保たれているわけではなく、胎児が羊水ごと卵膜に包まれていることによって、かろうじて安定しているだけであるため、その緒は破裂から描かなければならない。またそれ故に「懐胎と分娩」の接続は操作不可能であることも重要である。臨月・出産日とは胎児の企みによって、懐胎者を分娩のパフォーマンスへと急き立てる場面といえる。まずは、その焦燥を把持へと導くために、破裂・爆発の基礎を確認したい。

 爆発のみを見るには、市販の花火等を分解し、火薬自体に点火すればよい。粉の散在様相によって、焔の表情は千変あるだろうが、直感する爆発とは異なる出来事に落胆するかもしれない。力強さは「一時の間」続くものの、然したる干渉を発揮することなく、現れた焔は消沈してしまうだろう。爆発とは「何が現出するのか」ではなく、「何を行なうのか」に含まれる純自他動詞であるため、周辺を吹き飛ばす主張がなければ、爆発自体は燃焼と変わらず、独話に終止する。そのため破裂をつくらなければならず、また、それさえ抽象すれば、当該予科を得られることになる。破裂とは、字義のとおり、破り裂ける物理的現象による脱自の亜種である。被膜によって内外自他がつくられ、内圧が充填され、一瞬間に平衡していく。ニュートン物理学的な比喩は単純ではあるが、事後に直感的な自己は失われ、観察者までもが含まれてしまう世界全体が残る点は重要である。破裂は同一性を保ったまま継続することのない世界への臨在であり、潜在する内圧時に環境知をプログラムとして獲得しているかのような脱自である。それは、死の形容だけでは済まされない危うさを孕んでいる。

 空圧による破裂を見てみよう。ゴム風船を口に銜え、 ... >>次頁へ続く

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